明治三十年八月二十日
高安分教会新築に付、松村吉太郎心得のため願
さあ/\尋ねる事情/\、事情はなか/\これまでの事情、楽しみ/\と言うて掛かりた事情。楽しみの中に又事情そうじゃないとも言う。多くの中なら一寸に思案は付こうまい。尋ねるから諭す。よう聞き分け。皆んな心の理の集まりたる処が、世界まあこれまでは、あの人/\、この者/\、皆寄り合うて出来立ちた。これまでの事情、一人や二人でどうしようこうしようと言うて成るものやない。皆んな心の寄った理より運ばにゃならん。銘々こうと言うたて行くものやなし、よう聞き分け。行く事情も相談の台、行かん事情も又相談の台とも言う。一寸には怖わいようなものや。なれど、何にも案じる事は更に無いで。大き川越そと思えば、大きい心持たにゃ越せん。小さい川なら、ぽいと越せる。あちらも眺めこちらも眺め、思うた一つの理なれど、怖わい事は無いで、恐ろしい事は無いで。これだけ諭したら十分の理である。