明治二十六年三月十八日夜一時三十分
刻限

さあ/\未だ/\一寸一時、未だどうであろうと思うて居る。さあ/\十分息の通うたる間一つ、さあ/\今までは日々たんのうして暮らした。何も思わくは無い。息の通うたる間、一つ話し置く、一つ頼むという事頼む。これから先々皆どんな事も、談じ合うてくれるよう。これから一寸向こうへどうしようこうしよう要らん。いつ/\まで頼まれた事、十分たんのう/\、一時の処語る語られんから連れて出る。二人姉弟片付けてない。どんな事もさしづを貰うてくれ。又一つ御席さん/\四五年の間、まことに悠るりとさして貰た。御席さんが今日の日であったら、辛苦尽すも水の泡、それではどうもならん。御席さんに一寸入り替わったようなもの。御席さんの処気の毒。頼み置く。何も難しい事要らん。内々の処姉弟の処一軒の内治め。これから御席さんの所綺麗にして。暫くの処頼みに出た。御席さんの所十分綺麗にして、年の行た人に守して実まで頼む。一寸分からんであろうと思う。二度三度救けて貰うた。十分満足。十分頼み置く。御席さんの処、これだけ頼む。わしは何時何処へ出帰るか知れん。北の方へか、南の方へか。どちらへ出るやら、そこは未だ分からん。なれど、十二月二十日に生まれると、日を切って置く。これだけ知らし置く。姉弟の処頼む。御席さんにもこれまで連れ添うて貰た。これまでの処、存命の中やで。これだけくれ/\頼み置く。これから春になりて来たら、あちらへ花見、日々の処何でも彼でも心いずまんよう、心のいずまさんよう頼み置く。遊びに行てこうかと言うたら、一寸拵えて。これだけ頼み置く。日々の処、年の行た人、綺麗にする人、これだけ頼み置くで。それで息が通うて居る、息のある間に頼み置く。これは頼み置くで。長い間の年限楽しまして貰た。わしが早う出帰ったら、御席さんを大事に掛けるから、皆さんこれだけ頼むで/\。

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