134.思い出

明治十六、七年頃のこと。孫のたまへと、二つ年下の曽孫のモトの二人で、「お祖母ちゃん、およつおくれ。」と言うて、せがみに行くと、教祖は、お手を眉のあたりにかざして、こちらをごらんになりながら、「ああ、たまさんとオモトか、一寸待ちや。」と、仰っしゃって、お坐りになっている背後の袋戸棚から出して、二人の掌に載せて下さるのが、いつも金米糖であった。又、ある日のこと、例によって二人で遊びに行くと、教祖は、「たまさんとオモトと、二人おいで。さあ負うたろ。」と、仰せになって、二人一しょに、教祖の背中におんぶして下さった。二人は、子供心に、「お祖母ちゃん、力あるなあ。」と感心した、という。註一この頃、たまへは、七、八才。モトは、五、六才であった。 二およつは、午前十時頃。午後二時頃のおやつと共に、子供がお菓子などをもらう時刻。それから、お菓子そのものをも言う。

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