天理教教典-全文-

第四章 天理王命

 親神を、天理王命とたたえて祈念し奉る。

 紋型ないところから、人間世界を造り、永遠にかわることなく、万物に生命を授け、その時と所とを与えられる元の神・実の神にています。

 このよふのにんけんはじめもとの神

 たれもしりたるものハあるまい

 三 15

 どろうみのなかよりしゆごふをしへかけ

 それがたん/\さかんなるぞや

 三 16

 親神は、人間世界の根本にていまし、この世を創められたばかりでなく、この世の有りとあらゆるもの、悉く、その守護によらぬものとてはない。しかも、その自由の守護の程は、眼に、身に、心に、ありありと、感じることが出来る。まことに、元の神・実の神にています。

 即ち、天では月日と現れ、さやけくも温かい光をもつて、余すくまなく、一れつにこの世を照らされる。

 このよふのぢいと天とハぢつのをや

 それよりでけたにんけんである 一〇 54

 人は、天地の間に生を享け、至妙な自然の調和の中に生存している。遍く月日の光を身に頂いているように、隔てなく天地の恵に浴している。天地は月日の理で、人は、天地抱き合せの、親神の懐に抱かれて、限りない慈しみのまにまに生活している。

 このよふのしんぢつのをや月日なり

 なにかよろづのしゆこするぞや

 六 102

 親神は、元初りに当り、親しく、道具、雛型に入り込み、十全の守護をもつて、この世人間を造り、恆にかわることなく、身の内一切を貸して、その自由を守護し、又、生活の資料として、立毛をはじめとし、万一切を恵まれている。

 その守護の理は、これに、神名を配して、説きわけられている。

 くにとこたちのみこと 人間身の内の眼うるおい、世界では水の守護の理。

 をもたりのみこと 人間身の内のぬくみ、世界では火の守護の理。

 くにさづちのみこと 人間身の内の女一の道具、皮つなぎ、世界では万つなぎの守護の理。

 月よみのみこと 人間身の内の男一の道具、骨つっぱり、世界では万つっぱりの守護の理。

 くもよみのみこと 人間身の内の飲み食い出入り、世界では水気上げ下げの守護の理。

 かしこねのみこと 人間身の内の息吹き分け、世界では風の守護の理。

 たいしよく天のみこと 出産の時、親と子の胎縁を切り、出直の時、息を引きとる世話、世界では切ること一切の守護の理。

 をふとのべのみこと 出産の時、親の胎内から子を引き出す世話、世界では引き出し一切の守護の理。

 いざなぎのみこと 男雛型・種の理。

 いざなみのみこと 女雛型・苗代の理。

 即ち、親神天理王命の、この十全の守護によつて、人間をはじめとし、万物は、皆、その生成を遂げている。

 たん/\となに事にてもこのよふわ

 神のからだやしやんしてみよ

 三 40・ 135

 この世は、親神の身体であつて、世界は、その隅々にいたるまで、親神の恵に充ちている。そして、その恵は、或は、これを火・水・風に現して、目のあたりに示し、又、眼にこそ見えぬが、厳然たる天理として、この世を守護されている。即ち、有りとあらゆるものの生命の源であり、一切現象の元である。

 実に、この世は、理ぜめの世界であつて、一分のすきもなく、いささかの遺漏もない。天地自然の間に行われる法則といわず、人間社会における秩序といわず、悉く、奇しくも妙なる親神の守護ならぬはない。

 このせかい一れつみゑる月日なら

 とこの事でもしらぬ事なし

 八 51

 月日よりみなそれ/\とみさだめて

 善とあくとをみハけするぞや

 八 52

 親神は、人の心はもとより、総てを見ぬき見透し、善悪共に見分けて、思召のままに守護されている。

 にんけんのわが子をもうもをなぢ事

 こわきあふなきみちをあんぢる

 七 9

 それしらすみな一れハめへ/\に

 みなうゝかりとくらしいるなり

 七 10

 このせかいなにかよろづを一れつに

 月日しはいをするとをもゑよ

 七 11

 しかも、親神は、どこまでも、一れつ子供を愛撫される親にています。しかるに、この親心を悟らず、天地を無視し、己が力を過信して、我ままな心を遣い、得手勝手な行をしているのは、万一切を支配し、総てを見ぬき見透されている親神の眼から見れば、あたかも独り歩きする幼児のようで、これほど危いことはない。

 どのよふなくどきはなしをするのもな

 たすけたいとの一ぢよばかりで

 七 26

 一れつのむねのうちよりしんぢつに

 はやくわかりた事であるなら

 七 27

 それからハ月日よろづのしはいする

 なにかよろづのたすけするぞや

 七 28

 親神は、これをあわれと思召し、種々言葉を尽して、一れつたすけの限りない親心を明かし、よろづいさいの真実を教えて、自由自在の珍しい守護を見せられる。

 月日にハせかいぢううハみなわが子

 かハいいゝばいこれが一ちよ

 一七 16

 親神は、人間の実の親にています。親神は、ただ一すじに、一れつの子供に陽気ぐらしをさせたいと望ませられ、教祖をやしろとして表に現れ、元初りのいんねんあるぢばにおいて、たすけ一条の道を啓かれた。

 ぢばは、天理王命の神名を授けられたところ、その理を以て、教祖は、存命のまま、永久にここに留り、一れつを守護されている。

 どのよふなたすけするのもしんちつの

 をやがいるからみなひきうける

 七 101

 実に、天理王命、教祖、ぢばは、その理一つであつて、陽気ぐらしへのたすけ一条の道は、この理をうけて、初めて成就される。

 あしきをはらうてたすけたまへ

 てんりわうのみこと