明治二十二年二月七日(陰暦正月八日)午後八時四十五分
松見崎という角力取が本部へ無心に来て、平野楢蔵に向けて種々の事言い掛けるに付、過日来刻限の話もある故、如何取り計って宜しきや願

さあ/\世界は難しい。長らえての処、世界の処難しいのやで。世界の悪は皆あちらの悪こちらの悪皆寄せ、あちらへこちらへばら/\。とんと一つ悪を定めて道が付いた。悪を善で治め、たすけ一条、千筋悪なら善で治め。悪は善出る処の悪の精抜けて了う。だん/\最初一つの談示、どうしたらよかろう。元より話聞く。どうしてよかろう、どうしてこうとも言わん。夜更しして夜とも言わん、昼とも言わん。一名一人早く入り込んで、めん/\深き処の理をして居る。名義の無き影形の無き間は怖わい。掛かりようも無い。一つの理も吹き出し掛けたら悪がばら/\になった。一つ話心見せる。危ない/\処は無い。どうしてやれとも言わん。所を変えて優しい心を治め、何よの処頼む。何程心あれども頼む。心あれば荒い言葉も使うまい/\。成るだけ秘っそう、出せまい、秘っそうにして。

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