明治三十二年六月一日
井岡喜一郎十九才身上願(田原村字誓多林)
さあ/\尋ねる処/\、身上一ついかな事であろうか、理を尋ねる。尋ねば、一つさしづしよう。身上は余程大層である/\。まあ一つしっかり聞き分けてくれ。これまでの処、やれ/\これならと思うた日もある。今一時又一つ身上と言う。こうなれば、どうなろと思う。よう聞き分け。身の内かりものというは、めん/\心に分かりてあろう。又他にも諭すやろう。いんねんという、為す事事情、この理を心に治めてくれ。いんねん程成らん理は無いで。成ろうと思て成るものやない。成ろうまいと思うても成って来るが、これいんねんという。世上という世界という、幾重の難、どんな事情も見ても居るやろ、聞いても居るやろう。内々事情いんねん程なあと思うやろ。聞き分け。身の内悩みありて、日々たんのう、これは出来ようまい。なれど、しょうと思てもならん、しょまいと思ても成って来る。この理をしいかり心に治めて、世上幾重の事情眺めたなら、どんなたんのうも出来んやあろまい。たんのう一つが、いんねんのさんげいとも言う。この理しっかり聞き分けて、人にも一つの理を諭してくれるよう。