明治三十年十一月十三日
飯田岩治郎だん/\相つのりしに付、処分方に付願
さあ/\尋ねる事情/\、ものというは、放って置いて大事無いものと、害になるものとある。放って置いて為になるものなら、放って置いてもよい。皆んな、よう聞き分け。前々さしづ、一も取らず、二も取らず、この理よりだん/\運び来たる心という理、深きの無きうちに直せば直る。日々だん/\日が経つ程、皆んな寄り合う心に理が寄りて来る。寄る程真の理を失うて了う。こうしたならいけんやないかと、何にもならん事して、今まで積んだもの掘り起して了うようなもの。二所も三所も出来るものなら、元のやしきは要らんもの。元分からんから、そういう事するのや。数々世上に理を下ろしたるは、同じ一つの理。外にいろ/\あちらで一寸やってみ、こちらで一寸やってみても、成り立ったものはあろうまい。尽して十分運んで十分、年限経ってこそいつ/\までの事情、何やら彼やらほんの一つの答も無く、放って置くから一寸には行かん。行かんからこれまで放ってある。最初は一寸した容物に入れてあるようなもの。なれど、だん/\日が経つ、理が殖えて来れば仕舞には容物には入らんように成る。成ってからどんならん、出けてからどんならん。いかんものは誰聞いてもいかん、善きものは、誰が聞いても善きもの。あちら分かれ、こちら分かれ、とんとどうもならん。この事情聞き分けて、これから先何か万事心得てくれ。それで今日の日は、僅かの日を待って、これでと言えば、それよりすっきりするがよい。うか/\したら、どんな事になるやら分からん。悪というものは、立ち掛けたら一時は立つものや。放って置いてはどうもならん。世界には未だ/\分かりた者は僅かしか無い。早くに取りて了えば、今日の日は無きもの。それからそれと心に欲が付くから、一人出け二人出け、それが頼りになりてだん/\事情と言う。あちらこちら何も分からん者、いつまでやっても行かせん。今日の日は一寸片付けて、すっきりして了うがよいで/\。