明治二十九年十二月七日夜
安堵飯田岩治郎身上御願の後にて

一寸筆取れ/\。どういう事筆取り掛ける。分からん道の譬え話、話はどういう譬えの話。朝起き一日の中の日あろ。年と言えば正月、一年一つ初め言わいでも分かって居る。代々続いたるよう、年々明けて何年なろ。よう諭し掛けたら、勇めば勇む曇れば曇る、言い/\日は経つ。よう聞き分け。皆々それ/\話し合いもあろう。よう事情諭し置け。これ幾度の話諭してある。皆これ一本柱があって、一本柱は立つまい。あちらから風吹く、こちらから風吹く。ひょろ/\細い柱も、太い柱も植え込んだる。伏せ込んだるもあれば、十分突っ張り/\言うたら、そこえやれ/\にたり、皆事情それ/\事情取り違い、事情送る/\。安心事情、何年道すがら知らせん、分からせん。新しい良いようの道、山路も崖路もある。どちら向いて通り、やれ/\と思えば又道を失う。何年々々、分からん道を連れて通りてある。三年以来、十年以来の事情は分かりてある。事情分からん/\。道を固め、あちら固め、こちら固め、一寸々々にをい掛ける道の中である。安心十分、楽しみ十分、身に不自由あろまい。今日何を喰べた。明日はどうであろう。待つもどうであろう。十分じゃなあと、心と日々ところりと相違する。どういう所行たとて、十分西向けど東向けど、曇り掛かりが第一の心である。こゝまで諭し置く。又々談示一つもするであろう。どういう話やない。よう聞き分け。もう道ならこそ、これだけ辛抱せにゃならん、と。年限の道見れば年限は長い。年限聞き分けば、我々も放って置けん、捨てゝ置けん。これよう聞き分けてくれ。

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