明治二十七年一月二十二日午後一時二十分
本席御身上願
さあ/\これ一寸朝起きる。くれ/\と身の処事情出来る。どういう事、少々事情ぐらいなら何でもあろまい。よう事情聞いて置け。些かなるものがどうなる、大きものがどうなる。この二つの理が難しい。難しい取ればどのくらい難しいと思う。どんな事も談じてくれにゃならん。談示という、抜け目の無いよう、もう何時や何時や、夜が更けるというような事では何ぼ寄っても何もならん。皆一つの心寄せたら、直きにこの場で治まるものや。霧の中、雨の中、風の中に置いたるようなものや。晴天という、晴天も一夜の間にどんな事に変わるとも分からん。あちらから一寸持って付け、こちらから引っ付ける。これは雨が降れば一寸、風が吹けば一寸むくれる。これ/\めん/\の事という理を思えば、引き付けるような事してはならん。性根という性根の無きもの、何ぼ聞かしても何にもならん。答の無き所へ持って行た処が何にもならん。そこからくれっとむくれる。心に一つ事情思わずして逼い続けるも同じ事、思てする事情は大変とも言う。事情諭し掛けたら、出掛けには後も向う向けるやろ。なれど、戦場へ出たなら、後向く事も出けん。今日はどうと一つの心定めるより仕様が無い。朝という夜が明けたら事情と言う。人々つかえてある。言わず語らず、御膳はもむないながらにも、常に変わらんように喰べて居る。これがほんまに喰べられんようになりたら、どうするぞ。今日の晴天明日の雨風分かろまい。何程心に尽そと思ても、身が動かれねばどうもならん。今の鮮やか知れようまい。これ一つよく聞き取ってくれるがよい。
押して
さあ/\よう聞き分けにゃどうもならん。十人の中親と言えば親、兄弟と言えば兄弟、従兄弟と言えばこれから先淡くなる。他人が他人やない。身が身やない。これ一つ聞き分けたら、何かの事情も皆分かる。さあ/\よう聞き分けにゃどうもならん。十人の中親と言えば親、兄弟と言えば兄弟、従兄弟と言えばこれから先淡くなる。他人が他人やない。身が身やない。これ一つ聞き分けたら、何かの事情も皆分かる。