明治二十六年十月五日(陰暦八月二十六日)
この日政甚小夫へ行って帰りに初瀬へ行きその時帰りて本席より政甚に説諭せられし御話

お前は戸主になりて居るから戸主のものや。俺は何処へなりと出て行くから、この理を分けて来い。何を諭して居るのやら分からん。夜昼の理が分からにゃ修行に出て行くがよい。このやしきには五十そこ/\の年を取りて居れど、それだけの阿呆は無いぞ。お前世界並のこうけ出せば俺は何処へなりと出て行く。言おう/\と思て居た処や。お前らでは一寸先見えん。早い目に夜と昼との理を分け。夜昼というは、昼行く道を夜行けば、どうなるか思やんしてみよ。戸主やといえど、財産の無き者、何一つどうと言うのやない。夜昼の理さえ分かれば、この道は結構なもの。心の立て替え出けるまで、何処へなりと出て行くがよい。
押して、清水与之助より詫びられ
道理を引き、言うて聞かせ。夜と昼とが分からねばならん。白いものと黒いものと分からねばならん。夜と昼と振り替わらんだけに、理までに許し置こう。
戸主やと言うて言い張れば、俺は出て行く。心安い所へ頼り、それで行かねば一銭宛貰ろて、その日を送るはやい。アヽヽヽヽヽ残念なわやい/\。

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