明治二十三年六月二十九日(陰暦五月十三日)夜九時
普請成就し且本席御障りに付願

さあ/\すっきり/\と皆洗い替えて置け。心通り何かの処、一つ/\聞いて置け。今一時の処、世界から大変である。日々の道理それからそれへ、大和の国には大変の事が出来たそうな。どっから何処まで響き渡したる処、皆何でも無いように思うて居る。今の一時掛かり、一つ大変は大変だけの理はくどう/\さしづをし、くどう/\流す理を聞き分けてくれねばならん。元々の処、どう成ろうかこう成ろうか知らんと、思うて通って来た処を思えば大きなものや。どれだけの理に成ったか分からん。ほんの掛かり、こっからこれまで四面の理を治めてある。道理を言えば隅から隅へ、斜かいに三分通りのようなものや。そんなら後七分は独り成って来る。世上の働きは何ぼの働きとも知れん。これからどんな事もして見せる。日々の働きして居る。道を開いて一人の理も治めてやったら、一軒なりと救けてやったら、一村なりと救けてやったら、世上世界にはそっからそこへ、枝から枝へ、枝が何ぼ咲くや知れん。遠くの所の話遠くの者、何かの事を聞き分け。何とも無しに、結構に成ったら行こうかというようでは、盛んに成るか、大き成るか。この理を聞き分けてくれば、一切の理は皆分かる。あちらへ手を引きて連れて行くのも同じ事、一箇年一箇年指を繰って皆年限の理があるから、よう/\の事治まった。あっちから木を持って来る。どっから植えに来た。早速に植えたら、景色の良いものやと言うも、元々の理があるからの事、一時に出来たものは無い。皆々互いの理を治め、枝から枝とだん/\の理で出来て来る。結構に成れば行こうかというようでは、どっから出来て来るか。もう尽し果した者もある。にっちも動かれん者がある。可哀いそうで/\ならん。尽し果てた者があるから今日の日という。内に物が有っては邪魔になる。皆人に救けて了え。一粒万倍の理を聞き分け。皆種より生えて来る。天の理に凭れてするなら、怖わき危なきは無い。今一時一つだん/\あっちも仮家、こっちも仮家、よう/\あら/\の処、出来成った処、もうこれで一つ、これからという不思議、一時普請と言えば一日の普請でも尋ねて、これでよしやと言えば後々一つでも事情が残らんよう。これからの始めというは、どっから始めるとも分からん。なれど何時始めるや知れん。中途に鈍な事をした、下手な事をしたという。最初に尋ねてさしづを以てさえすれば、下手は無きものや。尋ねてもさしづを耳に聞いてすれば、人に何とも思う事は要らん。神の道、神一条の理に基いてやらねばさしづしたとは言わん。さしづを聞いてどういう心に関という垣を拵えてはどうもならん。そこで大工々々という。大工一つの事情、道具にも譬え、人夫にも諭したる。大工一きの話という、又人夫ともいう、雇入れともいう、伏せ込み大工という。伏せ込んだ大工は一人だけの事。これよう聞き分け。万事の止めに出てある。又よろづの止めに出してある。それに尋ねてするのは、これまでの通りに納したるものを、とん/\とつくような、腹が減っては飯喰べようと言えば、さあ喰べようかと言うようなものや。これまでの理はすっきり受け取ったで。人間の心の理はどうもならん。後々の理は可哀いそうやよって、くれ/\も諭して置く。これから仮家を始めるで。仮家より本普請続きになる、そんな小さいものやない。

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