49.素直な心
明治9年か10年頃、林芳松が5、6才の頃のことである。右手を脱臼したので、祖母に連れられてお屋敷へ帰って来た。すると、教祖は、「ぼんぼん、よう来やはったなあ。」と、仰っしゃって、入口の所に置いてあった湯呑み茶碗を指差し、「その茶碗を持って来ておくれ。」と、仰せられた。芳松は、右手が痛いから左手で持とうとすると、教祖は、「ぼん、こちらこちら。」と、御自身の右手をお上げになった。威厳のある教祖のお声に、子供の素直さから、痛む右手で茶碗を持とうとしたら、持てた。茶碗を持った右手は、いつしか御守護を頂いて、治っていたのである。