144.天に届く理
教祖は明治十七年三月二十四日から四月五日まで奈良監獄所へご苦労下された。その間忠三郎は獄吏から便所掃除を命ぜられた。忠三郎が掃除を終えて教祖の御前に戻ると教祖は、「鴻田はん、こんな所へ連れてきて便所のようなむさい所の掃除をさされて、あんたは、どう思うたかえ。」とお尋ね下されたので、「何をさせて頂いても神様の御用向きを勤めさせていただくと思えば、実に結構でございます。」と申し上げると、教祖の仰せ下さるには「そうそう、どんな辛いことや嫌な事でも結構と思うてすれば、天に届く理、神様受け取り下さる理は、結構に変えて下さる。なれどもえらい仕事、しんどい仕事をなんぼしても、ああ辛いなあ、ああ嫌やなあ、と、不足不足でしては、天にとどく理は不足になるのやで。」とお諭し下された。