110.魂は生き通し
教祖は、参拝人のない時は、お居間に一人でおいでになるのが常であった。そんな時は、よく、反故の紙の皺を伸ばしたり、御供を入れる袋を折ったりなされていた。お側の者が、「お一人で、お寂しゅうございましょう。」と、申し上げると、教祖は、「こかんや秀司が来てくれるから、少しも寂しいことはないで。」と、仰せられるのであった。又、教祖がお居間に一人でおいでになるのに、時々、誰かとお話になっているようなお声が、聞こえることもあった。又、ある夜遅く、お側に仕える梶本ひさに、「秀司やこかんが、遠方から帰って来たので、こんなに足がねまった。一つ、揉んでんか。」と、仰せになったこともある。又、ある時、味醂を召し上がっていたが、三杯お口にされて、「正善、玉姫も、一しょに飲んでいるのや。」と、仰せられたこともあった。註:梶本ひさは、明治20年結婚して、山沢ひさとなる。