天理教の葬儀について-服装・香典・作法・式の流れなど-

服装・香典・作法(マナー)・式の流れなど、分かりやすく紹介します。
天理教では神道の儀礼を基本とした天理教式の葬儀を執り行います。
以下の説明は基本的なもので、教会によっては異なる場合もありますのでご承知ください。
天理教の用語説明は下部に掲載しています。

服装について

基本的にはほかの形式のお通夜の服装で問題ないと思います。

着物

天理教の方は着物(喪服)の方が多いです。

男性は羽織袴。扇子はいりません。羽織房のカン(S字のフックは黒、又は銀)です。

女性は落ち着いた色の着物(喪服)です。髪飾りや帯留めはいりません。喪服にも詳しい区分がありますが、ここでは触れません。

スーツ(ブラックフォーマル)

最近ではスーツの方も多いです。

男性は黒のスーツでネクタイは黒色。

女性は黒のワンピースやアンサンブル、スーツが多いです。

子供の服装は基本的には学生服で良いでしょう。または黒基調とした格好が望ましいです。

装飾物等

数珠は不要です。
アクセサリーやバッグは基本的に黒色が良いでしょう。

香典・ 香典袋(御供え金封)について

天理教では、市販の香典袋や封筒でも問題ないでしょう。
ただし、蓮の花の掛かれている香典袋は仏教の考え方なので使用しないでおきましょう。

表書きは、「御玉串料」「御榊料」「御霊前」など神道で使われるものが一般的です。仏教で良く使われる「御仏前」は、使用しない方がよいでしょう。また、薄墨で書く事もあります。

金額ですが、あくまでも気持ちの面ですのでいくらでも大丈夫でしょうし、一般的な金額でも問題はありません。大体の金額として、知人の場合は3千円から5万円(年齢が上がるにつれ金額が上がります。)親族の場合は3万円から10万円程でしょう。

水引きに関しては地域にもよりますが、黄と白、あるいは黒と白、もしくは銀色のものを使います。
水引のかたちは結びきりです。

なお、玉串料のお返し(香典返し)の際には「偲草」表記が用いられます。

参拝の作法について

天理教葬儀での参拝作法は次の通りです。
自分の前の人の参拝作法を真似してください。
また、参列者からはよく見えませんので、さほど気にしなくても大丈夫です。

①玉串を受け取ります。
※持ち方

葉先を左手で「左側下」から持ち、枝先を右手で「右側上」から持つ。

高さは「胸の前」辺りに上げる。

②祭儀が執り行われている葬場(上段:一段高い場所)が区切られている場合は、そこで一礼します。

③祭壇の前まで進み、「玉串を奉献」します。
※玉串奉献の作法

葉先の左側を「祭壇」に向け、枝先右側を「自分側」に向け、まず軽く礼をします

葉先の左手を「枝先」に、枝先の右手を「葉先」へと入れ替えます。

時計の針と同じ周りで右に回し、枝先を「祭壇」へ向け、葉先を「自分」に向け玉串台へと献じます。

④参拝をする。
※参拝の作法

神前の場合は「二回」礼をします。※神前から離れている場合は「一回」礼をするだけでも良いです

四回拍手を打ちます。(神式では、「しのび手」と言って音は立てませんが、天理教では音を立てても大丈夫です。)

一拝します。

顔を上げ、もう一度、四回拍手を打ちます。

一礼します。

⑤祭儀が執り行われている場所が区切られている場合は、そこまで下がり神前に向かって一礼します。

動画では玉串奉奠(たまくしほうてん)となっていますが、天理教式では玉串奉献(たまくしほうけん)とアナウンスされます。

式について

みたまうつしつについて

天理教でいう「お通夜」の事です。
「みたまうつしの儀」「みたましずめの儀」を一つにしてつとめます。

遺骸(なきがら)から御霊(みたま)を霊璽(れいじ)にうつし、霊床(みたまどこ)に沈める儀式。
簡単に言えば、亡骸から魂を位牌にあたるものにうつして、神棚にあたるところに置く儀式ですね。

霊床とかいて「たまどこ」と呼ぶことが多いですが、天理教では「みたまどこ」と呼ぶことが多いです。

時間はおおよそ1時間程度です。

みたまうつし式次第(お通夜の流れ)

他のサイトにも簡単な式次第が掲載されていたりしますが、ここでは少し詳しく紹介していきます。
天理教の多くの教会は畳で行いますので、正座で行うことが多いです。

葬儀社で行う場合は基本椅子席で行いますので、多少変わってくるかと思います。

①斎員入場着座
斎員の方たちの入場です。

②祓主「祓詞」奏上(はらいぬし「はらいことば」そうじょう)
祓詞は、神事の最初に唱えられるおはらいの言葉です。

③大麻行事(おおぬさぎょうじ)
葬場や斎員、神饌物(神前に供える物)、参列者を大麻と呼ばれる木に八垂(やたれ)の垂(しで)を多くつけ、麻緒(あさお)を付けた物でお祓いをします。

④遺骸の前に霊璽を奉持

⑤「うつしの詞」奏上
うつし詞を奏上後、消灯します。この際に「おうつし」「おしずめ」が行われ、点燈します。

⑥斎員着座

⑦献饌(けんせん)
供物を神前に供えます。

⑧斎主玉串奉献
玉串(たまくし)は榊に幣(しで:紅白の帛(きぬ)と麻緒を付けたもの)をつけて使いますが、紙の四垂(よたれ)を用いる場合が多いです。

⑨「しずめの詞」奏上
「しずめ詞」は霊を新霊舎(あらみたまや)に納めた後に、遺骸は柩に納め、明日に葬送することを告げ、霊は新霊舎に鎮まり、家人・子孫の幸え、護り給えと願う意味があります。

⑩斎員列拝
斎主以外の斎員が列拝します。

⑪玉串奉献(たまくしほうけん)
親族や、参列者による玉串奉献を行います。喪主もこのタイミングで行います。
玉串奉献を「たまくしほうてん」と読んだりします。

⑫喪主挨拶
喪主の方の挨拶があります。

告別式について

天理教は「発葬の儀」「葬場の儀」を併せて告別式とする場合が多いです。
告別式は「みたまうつし」の翌日に行われます。

告別式語に、葬後霊祭という毎十日祭にあたる式をします。

発葬の儀とは

葬場を別の場所に設けて葬儀を進める場合は、発葬の儀(自宅より葬場へお送りする式)を執り行い、葬列を組んで、遺骸を葬場へ出棺し遷す時の式のこと。

葬場の儀とは

親神様よりのかりものを、故人の生前中の姿を偲びながら、丁重に葬り、お返しするための式のこと。

告別式式次第

①斎員着座
斎員の方たちの入場です。

②献饌
供物を神前に供えます。

③「誄詞(しのびことば)」奏上
生まれ出て出直すまでの故人の生涯を思い起こし生前中の御徳・業績を誄ぶ詞

④斎主玉串奉献
このとき「告別詞」を奏上します。
「葬場詞」にあたります。故人の出直しは悲しき極みであるが、現世の習いとして柩に納め、御葬の式を執り行い別れを告げるが、千代の住所と定める御墓所にどうぞご安心して出で立ち下さり、永久に鎮まり居ませと申し上げる詞

⑤斎員列拝
斎主以外の斎員が列拝します。

⑥玉串奉献
親族や、参列者による玉串奉献を行います。喪主もこのタイミングで行います。

⑦弔辞(ちょうじ)
葬儀のさいに披露する、死者への最後の別れの言葉です。

⑧弔電を告ぐ

⑨挨拶

⑩撤饌
供物を神前から下げます。

⑪退手退場

⑫出棺
火葬場へ出棺します。

葬後祓について

出棺後、祓師が大麻を持って各室を祓い清めます。また、葬場(火葬場)から帰ってきた人を門前にて祓います。

葬後霊祭について

火葬場から戻って着次第執り行います。十日祭と呼ばれるものに当たります。

葬祭が済んだ後に、霊に葬儀が滞りなく終えたことを報告し、これより合祀迄の五十日の間は仮霊舎に鎮まり頂き、生前の面影を偲びつつお仕え申し上げますので、御心安らかにお受け下さり、教えの栄えと家内・子孫の繁栄を守り幸え給えと告げる式の事です。

葬後霊祭式次第

①斎員着座
斎員の方たちの入場です。

②祓主祓詞葬場

③大麻行事

④斎主玉串奉献
この際に、「葬後霊祭詞」を奏上します。

⑤斎員列拝
斎主以外の斎員が列拝します。

⑥玉串奉献
親族や、参列者による玉串奉献を行います。喪主もこのタイミングで行います。

⑦退手退場

年祭(年忌)について

仏教でいう年忌にあたります。教会にもよりますが、五十日祭、一年祭、三年祭、五年祭、十年祭、…五十年祭までつとめることも有ります。土地柄にもよりますが、十年祭、二十年祭で区切ることが多いです。

御霊様(みたまさま)とは
仏教でいう仏様の事です。

出直しとは
天理教では一般に死と言われていることを出直しといいます。
出直しには最初から新しくやり直すという意味が含まれています。一般的な死が、この世での制の終結を意味するのに対して、出直しは、この世で再び生命をえるために新しく再出発するという意味を持ちます。

天理教葬儀のお礼(お布施、ご神饌料、献金)の書き方、相場、渡し方

天理教式の葬儀は、神道に習っていますので、基本的には神式と一緒です。
ですのでのし袋には、「御礼」や「御祭祀料」(おんさいしりょう)、「寸志」(すんし)、「志」(こころざし)などですね。相場などもあくまでも参考ですので親族の方や、近くの教会関係者に尋ねてみましょう。
ここでは簡単な使い分けを紹介します。

のしの書き方

最初に注意が必要ですが、「蓮の花」が描かれているのし袋は使いません。蓮の花はお釈迦様を表しているので、仏式で使われますね。水引きは主に「双銀」・「双白」と書いていますが、「黒白」でも構いません。神式では「黒白」は使いませんが、天理教では問題ないでしょう。
「双銀」は特に金額が多いときに用います。金額が少ないときは「双白」又は「黒白」を使いましょう。

「御礼」

とてもメジャーですね。どんな場合にでも使える便利な文言です。葬儀などでの斎官へのお礼として使われます。金銭以外でも使える便利な文言です。
「熨斗」(のし袋右上にある飾りのようなもの)はなし、水引は「双銀」・又は「双白」「黒白」で、「結び切り」のもの。
白封筒でも問題ありません。

「御祭祀料」(おんさいしりょう)

あまり見かけませんが、これでも問題ないでしょう。葬儀などでの斎官への祭祀料として使われます。
これも御礼と一緒で、
「熨斗」(のし袋右上にある飾りのようなもの)はなし、水引は「双銀」・又は「双白」「黒白」で、「結び切り」のもの。
白封筒でも問題ありません。

「寸志」(すんし)

これも良く見かけますね。葬儀の手伝いや会場関係者などへのお礼として送ることが多いです。
ただ、「寸志」の意味合いとして、目上の人から目下の人に贈る場合に用いることが多いです。
寸には「少しの」、志には「気持ち」の意味がありますので、
少しばかりの気持ちですという気持ちを込めたものです。
「熨斗」(のし袋右上にある飾りのようなもの)はなし、水引は「双銀」・又は「双白」「黒白」で、「結び切り」のもの。
白封筒でも問題ありません。

「志」(こころざし)

「寸志」とは少し違い、感謝の気持ちや、好意などを表すために送る金品などに使います。
葬儀の手伝いや会場関係者などへのお礼として送ることが多いです。「寸志」のように、目上から目下へといった意味合いはありません。
「熨斗」(のし袋右上にある飾りのようなもの)はなし、水引は「双銀」・又は「双白」「黒白」で、「結び切り」のもの。
白封筒でも問題ありません。

相場・渡し方について

地域や、教会によって変わってくるかと思います。
特に手伝っていただいた内容によって大きく変わりますね。
斎主になりと、一番高額ですし、斎員に関してもそれなりの金額になると思います。
が、あくまでも御礼ですので、経済的に無理のない額を用意するのが良いでしょう。
以下はあくまでも例です。

斎員について

  • 斎主:10~5万
  • 副斎主:8~3万
  • 伶人:5~1万円
  • 楽人:5~1万円

渡し方ですが、式後に直接相手へ手渡すのが良いでしょう。
場合によっては葬儀社の担当者に代わりに渡してもらうこともあります。

運転手・その他手伝い人(受付など)

寝台車・霊柩車の運転手への「心付け」も必要になってきますね。
渡すタイミングは「火葬場へ向けて出発する前、または火葬場から戻った時など」です。
封筒は無地の白封筒を使います。

寝台車の運転手

5000円から2000円。
他にもハイヤーや、マイクロバスの運転手にもすることも有ります。
3000円から2000円ほどです。

その他の手伝い人(受付)など

高くても数千円から1万円ほどでしょう。
渡さないこともありますので、親族や、お近くの教会関係者の方などに聞いてみましょう。

ポイント

あくまでもここで取り上げたのは例です。その地域や、教会によって、変わってくるかと思いますが、これらは全て感謝の気持ちとして渡すものです。
決まった額などは本来ありえませんので、上記の額を参考に決めて頂ければと思います。また、金銭の代わりに品物でお返しすることもあります。

天理教式:末期の水・死に水をとる・作法など お悔やみに行く前に

末期の水(まつごのみず)は仏教での風習ですが、天理教でも行うことがります。天理教の葬式は神式(神道)ですので、 それに準じて行われます。


神道では末期の水の儀式は行いますが、死の穢れを清めるためという考えのもとに行われ、箸ではなく榊の葉を用いるのが正式な作法とされています。

天理教は神式で行いますが、意味合いなども当てはまるかどうかは定かではありませんが、作法等は同じでしょう。天理教の教理的におかしいところもあるように感じますので、そのうち神式ではなく、天理教式と呼ばれるものが出来るかもしれませんね。

末期の水・死に水をとる・作法・マナー

  1. 榊(さかき)の葉を使用します。
  2. 桶やお椀に入った水に榊(さかき)の葉 をつけて湿らせます。水は、生前故人が使用していた茶碗などに入れることもあります。
  3. 榊(さかき)の葉 を故人の唇に当てます。上唇から下唇の順番で、唇の左から右へなぞるように当てましょう。