現在のペルー共和国を中心とする中央アンデス地帯では、紀元前3000年頃からインカ帝国がスペインに征服される16世紀まで、様々な古代文化が栄えては衰退しました。
土器が登場するのは紀元前1800年頃と比較的遅かったにもかかわらず、各地で多種多様な土器がつくられました。
そして19世紀後半以降、欧米諸国の博物館や美術館がそれらの考古学的価値を高く評価したことで贋作(がんさく)がつくられるようになり、1950年代にコレクター達が造形美術として価値づけたことで贋作づくりはさらに盛んになりました。
本展では、ペルー北部地域を対象として古代アンデス造形美術の代表格である土器資料の真作と贋作を展示することで、当時の世界観に触れていただき、それらが現代ペルー社会において古代とは異なる脈絡で再生産されている様子を紹介します。
これらに加えて、「令和2年度・3年度国立民族学博物館公募型メディア展示」事業の支援により、タブレット端末およびVRゴーグルで笛吹ボトルの内部構造を閲覧する体験型のメディアコンテンツを提供します。
さらに各コーナーに設置したポイントで、二次元バーコードと紐づけしたオリジナル漫画による展示ガイドを、来場者ご自身のスマートフォンあるいはタブレット端末で閲覧していただき、専門的な内容を分かりやすく解説する工夫を試みています。
日本国とペルー共和国が国交を樹立して150周年にあたる記念の年に、当ギャラリーでは34年ぶりにアンデスに関するテーマ展を開催します。
インカ帝国のイメージが先行する中央アンデス地帯ですが、本展を通じて多様な文化の存在と現代ペルー社会に生きる人々の逞しさを感じていただければ幸いです。
なお、本展は12月2日(土)まで開催します。詳細はこちら
【展示資料】