ひのきしんスクール運営委員会(村田幸喜委員長)は5月26日、27日の2日間、ひのきしんスクール講座「『終活』を考える~高齢者のおたすけの一助に~」を、おやさとやかた南右第2棟3階で開催、24人が参加した。
この講座は、おたすけの一助として「終活」を取り上げ、今世の最後を迎えるための話し合いや準備をしておくことの重要性、世話取りやおたすけに関わる上での留意点について、福祉、司法、医療、おたすけの各現場で活躍されている講師から学び、教会・ようぼくとして何ができるのかを考えていくもの。
初日は地域包括支援センター長の中村靖男氏(巣鴨分教会長)が「高齢者福祉の現場から――エンディングノートの作成」と題して講義。奈良市で実際に使用されているエンディングノート「わたしの未来ノート」を用いてノートの役割、使い方について解説し、高齢者支援の現場から経験した事例をいくつか紹介した。中村氏は「エンディングノートは終活の全体的な流れを文字で書いて意思表示をしていくもので、誰にでも手軽にできる。信者さんや身の周りの方のおたすけに活用できれば」と語った。
その後、弁護士資格を持つ山﨑栄喜氏(南本郷分教会長)が「『終活』と法律知識」と題して講義。終活に不安を抱える高齢者からの相談の対策として、遺言や成年後見、財産管理などの契約について解説した。山﨑氏はこういった法律知識を学ぶことについて「法律に関する相談を受けたときに、ある程度の知識があれば快くより親身に相談を受け入れることができ、また適切な対応ができるようになる。そうすれば、相談者との間に信頼関係が生まれて、教会へつながるようになり、信仰がより深まっていくのでは」と語った。
2日目は、なら家庭医療クリニック医院長の佐々木貫太郎氏が「地域医療と『終活』」と題して講義。自らの希望通りの人生の最期を迎えるために家族や信頼のおける人と予め話し合うプロセス、ACP(アドバンス・ケア・プランニング、愛称=人生会議)と終末医療について説明した。佐々木氏はACPを行う上で重要な過程として、「大切にしていることを考える」「もしもの時のことを考える」「信頼できる人に伝える」「明日からの生活を考える」を挙げ、また、どのような状況であっても本人の尊厳を保持していく必要があると解説した。
その後、中千住分教会前会長の白熊繁一氏が「ある高齢者のおたすけと出直しを通して……」と題して講義。人生の最期を教会で過ごしたいという婦人と、知的障害を持つ実弟の支援に苦慮している男性のおたすけについて発表した。講義の中で白熊氏は「葬儀のことや遺産相続について事前に話し合うことは大切であるが、それと同時に『信仰者の終活』として信仰の有り難さや尊さ、自分の歩んできた道を後世に伝えていくことが大切」と語った。
最後に、中村、山﨑、佐々木、白熊の4氏による、講義内容を掘り下げる形での質疑応答が行われた。