天理参考館では第86回企画展「器にみるアンデス世界―ペルー北部地域編―」(会期:6月14日まで)の関連イベントとして、4月24日(土)にトーク・サンコーカン(講演会)「X線CT画像から分かる古代アンデス土器の“贋作”づくり」を開催しました。受講は事前申し込み制とし、当日は新型コロナウイルス感染防止策を講じて開催しました。
講師の荒田恵・参考館学芸員は古代アンデスの土器づくりの歴史を紹介したのち、その中でも「鐙型注口壺〈あぶみがたちゅうこうつぼ〉」と呼ばれる土器について、時代によって成形工程が変化していく様子を図で示しながら解説しました。
その上で、19世紀後半以降に制作された、いわゆる“贋作”と位置づけられる土器のX線CTスキャン画像を示して真贋の相違点を指摘しました。
土器に亀裂があり明らかに破損部を補修した痕跡がうかがえるものもありますが、一方で破損がみられない土器についても各部位の接合部の形状や型入れの際にできる内部の指跡の有無などを各時代の成形工程と比較することで“贋作”と特定することができると説明しました。
荒田学芸員は「古代アンデス土器の“贋作”は、ある一定程度の知識を持って作られたと考えられるが、土器細部の調整が本物と異なっている。今後このようなX線CT画像の解析がより一層進めば、“贋作”づくりに関する研究が一段と進むだろう」と述べました。
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なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、今後のイベント開催については天理参考館の公式ウェブサイトおよびツイッターにて情報を公開いたしますので、ご確認の上ご来館くださいますようお願いいたします。