天理教の葬儀(お葬式)に参列することになり、「一般的な仏式と何が違うの?」「マナー違反にならないか不安…」とお悩みではないでしょうか。
天理教の葬儀は神道の儀礼を基本としていますが、仏教の「お通夜」にあたるものを「みたまうつし」と呼ぶなど、独自の作法や死生観があります。また、2024年2月26日より一部の儀式(玉串奉献の廃止など)で大きな改定がありました。
この記事では、初めて天理教のお葬式に参列する方に向けて、服装・香典・作法(マナー)・式の流れを、最新の改定内容を踏まえて分かりやすく解説します。
※以下の説明は基本的なものであり、各教会によって進行が異なる場合もありますのでご承知おきください。
【重要】2024年の儀式改定(玉串の廃止など)について
まず初めに、最新の重要な変更点をお伝えします。 2024年2月26日から、天理教教会本部にて一部葬儀についての改定が行われました。
- 玉串(たまぐし)の廃止:これまで行われていた「玉串奉献」が廃止されました。
- お祓い(祓い)の廃止:一部の祓い行事が省略・変更されています。
これにより、参列者の作法や香典袋の表書きにも変化が生じています。これから参列される方は、この「最新の形式」を念頭に置いておきましょう。
天理教の葬儀の服装マナー
基本的には、一般的なお通夜や告別式と同じ「黒を基調とした喪服」で問題ありません。
スーツ(ブラックフォーマル)の場合
現在では多くの方がブラックフォーマル(洋装)で参列されます。
- 男性: 黒のスーツに、黒のネクタイ。
- 女性: 黒のワンピース、アンサンブル、スーツなど。
- 子供: 学校の制服(学生服)が基本です。制服がない場合は、黒や紺を基調とした落ち着いた服装を選びましょう。
着物(和装)の場合
天理教の信者の方は、着物(喪服)で参列されることが多いです。
- 男性: 羽織袴(縦縞などは避け、単色の着物)。扇子は不要です。羽織の紐を留める金具(S字フック)は黒、または銀色を使用します。
- 女性: 黒無地の染め抜き五つ紋付きの喪服。髪飾りや帯留めは使用しません。
装飾物・アクセサリーについて
アクセサリーやバッグは基本的に黒色が良いでしょう。
【注意】数珠(じゅず)は不要です
数珠は仏教の法具であるため、天理教の葬儀では持参不要です。
天理教式の香典袋の選び方と書き方(御供え金封)
天理教の葬儀にお持ちする香典(お供え)の金額相場や、香典袋の選び方・書き方について解説します。
香典袋の選び方・水引・薄墨について
天理教では、市販の香典袋や封筒を使用して問題ありません。ただし、蓮(はす)の花が描かれている香典袋は仏教の考え方であるため使用しないようにしましょう。
- 水引の色: 地域にもよりますが、黄と白、黒と白、もしくは銀色のものを使います。
- 水引の形: 結び切り(むすびきり)のタイプを選びます。
- 筆・インク: 悲しみを表すため、「薄墨(うすずみ)」で書くこともあります。
香典袋の表書き(2024年の改定に注意)
- 現在の推奨: 「御供(おそなえ)」「御霊前(ごれいぜん)」
- 以前の一般的な表書き: 「御玉串料」「御榊料」
- NGな表書き: 「御仏前(ごぶつぜん)」は仏教でよく使われるため、使用しない方がよいでしょう。
かつては神道に倣い「御玉串料」「御榊料」「御霊前」などが一般的でした。しかし、2024年に天理教の儀式から「玉串」が廃止されたため、「御玉串料」では意味合いが合わなくなっています。そのため、現在では「御供」や「御霊前」としておくのが最も無難です。
香典の金額相場と香典返し
金額はあくまでお気持ちの面が大きいですが、一般的な葬儀の相場と変わりません。
- 知人・友人の場合: 3,000円〜50,000円(年齢や関係性が深くなるにつれ金額が上がります)
- 親族の場合: 30,000円〜100,000円程 なお、玉串料のお返し(香典返し)をいただく際の表書きには、「偲草(しのびぐさ)」という表記が用いられます。
天理教の葬儀にお持ちする香典(お供え)のマナーについて解説します。
天理教の参拝作法(式の受け方)
天理教の拝礼は、神道に近い作法で行われます。自分の前の人の動きを真似すれば大丈夫ですので、過度に緊張する必要はありません。
拝礼の基本手順
※現在、玉串奉献は廃止されているため、祭壇前での拝礼が中心となります。
- 祭儀が行われている上段(葬場)の手前で一礼します。
- 祭壇の前まで進み、神前に向かって「二回」深くお辞儀(礼)をします。
- 「四回」拍手を打ちます。(※神道では音を立てない「しのび手」ですが、天理教では音を立てて拍手しても構いません)
- 「一回」深くお辞儀(一拝)をして、神様にお願いや感謝を伝えます。
- 顔を上げ、もう一度「四回」拍手を打ちます。
- 最後に「一回」お辞儀(礼)をします。
- 少し下がり、神前に向かって一礼して席に戻ります。
まとめると「二拝・四拍手・一拝・四拍手・一拝」の流れになります。
教会によっては玉串奉献をまだ取り入れている場合がありますので、その場合の方法も掲紹介します。
玉串奉献がある場合の参拝の仕方
①玉串を受け取ります。
※持ち方
- 葉先を左手で「左側下」から持ち、枝先を右手で「右側上」から持つ。
- 高さは「胸の前」辺りに上げる。
②祭儀が執り行われている葬場(上段:一段高い場所)が区切られている場合は、そこで一礼します。
③祭壇の前まで進み、「玉串を奉献」します。
※玉串奉献の作法
- 葉先の左側を「祭壇」に向け、枝先右側を「自分側」に向け、まず軽く礼をします。
- 葉先の左手を「枝先」に、枝先の右手を「葉先」へと入れ替えます。
- 時計の針と同じ周りで右に回し、枝先を「祭壇」へ向け、葉先を「自分」に向け玉串台へと献じます。
④参拝をする。
※参拝の作法
- 神前の場合は「二回」礼をします。※神前から離れている場合は「一回」礼をするだけでも良いです。
- 四回拍手を打ちます。(神式では、「しのび手」と言って音は立てませんが、天理教では音を立てても大丈夫です。)
- 一拝します。
- 顔を上げ、もう一度、四回拍手を打ちます。
- 一礼します。
⑤祭儀が執り行われている場所が区切られている場合は、そこまで下がり神前に向かって一礼します。
天理教の葬儀の流れと「出直し」の教え
天理教では、一般的な「死」のことを「出直し(でなおし)」と呼びます。 これは、死を単なる終わりと捉えるのではなく、古い着物を脱いで新しい着物に着替えるように「親神様から借りていた身体をお返しし、また新しい身体を借りて生まれ変わってくる(再出発する)」という教えに基づいています。
そのため葬儀は、通常2日間に分けて以下の流れで行われます。時間は仏教式よりも少し長く、1時間〜1時間半ほどかかります。
天理教のみたまうつしについて
「みたまうつしの儀」「みたましずめの儀」を一つにしてつとめています。
仏教でいうお通夜に少し当たります。
①みたまうつしの儀とは
出直した霊に遺骸から新たに造って霊代(霊璽)に遷り、留まり頂く式 :「うつし」の詞
②みたましずめの儀とは
霊代を新霊舎(あらみたまや)に納めて後に、かりものの遺骸は柩に納め、明日に葬送することを告げ、霊は新霊舎に鎮まり、家人・子孫の幸え、護り給えと願う式 :「しずめ」の詞
天理教のみたまうつし式の流れ
①斎員着座
斎員の方たちの入場です。
②「葬儀祓詞」の奏上
③祓行事 廃止になりました。
霊床、お供え物、斎主、斎員、参列者を祓います
④霊床より霊璽を捧持し、「遺骸」の前へ
⑤斎主以下斎員一同「遺骸」の前に着席
⑥「うつし」の詞を告げる
⑦霊璽を捧持し、霊床に向かう
この時消灯します。
⑧霊璽をお社に納めて開扉
燈明が点灯した後、点燈します。
⑨献饌
供物を神前に供えます。
⑩斎主玉串を献じ、「しずめ」の詞を告げ、礼拝
このとき「しずめ詞」を奏上します。
⑪斎員列拝
斎主以外の斎員が列拝します。
⑫玉串奉献 参拝
親族や、参列者による参拝を行います。喪主もこのタイミングで行います。
⑨挨拶
喪主からの挨拶です。
⑪退手退場
天理教の告別式について
天理教は「発葬の儀」「葬場の儀」を併せて告別式とする場合が多いです。
告別式は「みたまうつし」の翌日に行われます。
告別式語に、葬後霊祭という毎十日祭にあたる式をします。
天理教の発葬の儀とは
葬場を別の場所に設けて葬儀を進める場合は、発葬の儀(自宅より葬場へお送りする式)を執り行い、葬列を組んで、遺骸を葬場へ出棺し遷す時の式のこと。
天理教の葬場の儀とは
親神様よりのかりものを、故人の生前中の姿を偲びながら、丁重に葬り、お返しするための式のこと。
天理教の告別式の流れ
①斎員着座
斎員の方たちの入場です。
②献饌
供物を神前に供えます。
③「誄詞(しのびことば)」奏上
生まれ出て出直すまでの故人の生涯を思い起こし生前中の御徳・業績を誄ぶ詞
④斎主玉串奉献 参拝
このとき「告別詞」を奏上します。
「葬場詞」にあたります。故人の出直しは悲しき極みであるが、現世の習いとして柩に納め、御葬の式を執り行い別れを告げるが、千代の住所と定める御墓所にどうぞご安心して出で立ち下さり、永久に鎮まり居ませと申し上げる詞
⑤斎員列拝
斎主以外の斎員が列拝します。
⑥玉串奉献 参拝
親族や、参列者による参拝を行います。喪主もこのタイミングで行います。
⑦弔辞(ちょうじ)
葬儀のさいに披露する、死者への最後の別れの言葉です。
⑧弔電を告ぐ
⑨挨拶
⑩撤饌
供物を神前から下げます。
⑪退手退場
⑫出棺
火葬場へ出棺します。
天理教の葬後祓について(廃止になりました)
出棺後、祓師が大麻を持って各室を祓い清めます。また、葬場(火葬場)から帰ってきた人を門前にて祓います。(廃止になりました。)
天理教の葬後霊祭について
火葬場から戻って着次第執り行います。十日祭と呼ばれるものに当たります。
葬祭が済んだ後に、霊に葬儀が滞りなく終えたことを報告し、これより合祀迄の五十日の間は仮霊舎に鎮まり頂き、生前の面影を偲びつつお仕え申し上げますので、御心安らかにお受け下さり、教えの栄えと家内・子孫の繁栄を守り幸え給えと告げる式の事です。
天理教の葬後霊祭式の流れ
①斎員着座
斎員の方たちの入場です。
②祓主祓詞葬場 廃止になりました。
③大麻行事 廃止になりました。
④斎主玉串奉献 参拝
この際に、「葬後霊祭詞」を奏上します。
⑤斎員列拝
斎主以外の斎員が列拝します。
⑥玉串奉献 参拝
親族や、参列者による参拝を行います。喪主もこのタイミングで行います。
⑦退手退場
年祭(仏教の年忌法要にあたる)について
仏教の「一周忌」「三回忌」などの年忌法要にあたるものを、天理教では「年祭(ねんさい)」と呼びます。
一般的には、五十日祭、一年祭、三年祭、五年祭、十年祭とつとめ、その後は五十年祭まで行われます。地域や教会の方針にもよりますが、十年祭や二十年祭といった区切りで大きくつとめることが多いです。
御霊様(みたまさま)とは
仏教でいう仏様の事です。
出直しとは
天理教では一般に死と言われていることを出直しといいます。
出直しには最初から新しくやり直すという意味が含まれています。一般的な死が、この世での制の終結を意味するのに対して、出直しは、この世で再び生命をえるために新しく再出発するという意味を持ちます。





