147.本当の助かり

大和の国倉橋村の山本与平の妻いさは、明治15年、不思議な助けを頂いて足腰がぶきぶきと音を立てて立ち上がり、年来の足の悩みをすっきり御守護いただいた。がその後手が少し震えて、なかなか良くならない。少しのことであったが、当人はこれを苦にしていた。それで、明治17年夏、おじばへ帰り教祖にお目にかかって、その震える手を出して、「お息をかけていただきとうございます。」と願った。すると教祖は、「息をかけるはいと易いことやが、あんたは足を助けていただいたのやから、手の少し震えるぐらいは何も差し支えはしない。すっきり助けてもらうよりは、少しぐらい残っている方が、前生の因縁もよく悟れるし、いつまでも忘れなくてそれが本当の助かりやで。人皆すっきり助かることばかり願うが、真実助かる理が大事やで。息をかける代わりに、この本貸してやろ。これを写してもろて、たえず読むのやで。」とお諭し下されて、おふでさき十七号全冊をお貸し下された。この時以来手のふるえは一寸も苦にならないようになった。そして生家の父に写してもらったおふでさきを生涯、いつも読ませていただいていた。そして誰を見ても熱心ににをいをかけさせて頂き、八十九歳まで長生きさせていただいた。

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