明治二十二年十月十四日(陰暦九月二十日)
刻限御話
さあ/\前々より刻限以て話たる処、古き事/\という事、ほん一つで分かる事。古き者親という。子は何人ありても親は一人。為したる事はどうでも立てねばならん。親がありて子というは、親が賢うても、子は鈍な者出けるやら知れん。子は、親が鈍な者やと言う者があるなれども、何ぼ鈍な親でも、親があればこそ。年が寄れば鈍な者や。鈍な者でも親というもの大切なものや。悟り一つの理で席というものは、聞けば聞くだけ、尋ねば尋ねるだけのものや。何にも知らぬ者や。いや/\悟りというも、よう聞き違いの無きよう。親というものはどれだけ鈍な者でも、親がありて子や。子は何ぼ賢うても親を立てるは一つの理や。これだけの理を聞かし置こう。