明治三十三年九月二日
西郷長蔵四十四才身上願
さあ/\尋ねる事情/\、さあ身上という、さあどうも一時に迫る処、よう一つ聞き分け。成らん。どれだけ諭すれど、成らん。又銘々どれだけ思えど成らん。成らんから尋ねる。一つ道理から一つ諭すによって、よう聞き分け。今一時に迫ると思うな。遠く事情戻る。一時堪いられんなあ思う。しいかり聞き分けて、道の上からたんのうさすがよい。道の上からはたんのうは第一。これまで何も分からん/\中から銘々も大抵尽した理に、身上どうと思うやない。思てはなろまい。事情は世上にある。世上の理を見てたんのうせにゃならん。世上には影も姿も分からんというような者は、世上多くある。ほんにそうやなあというは、それがたんのう。たんのうは、前生のさんげである。さあ身上、さあ身上、一時でない。なれど大層。道の上ならこそ。又諭す言葉という。世上の中には、戦場へ出てどんな事もある。これから見てすれば、どんなたんのうも出ける。道の上に長らえ、尽す事情は皆受け取る。何かたんのうせにゃならん。これ一つよう聞き分けてくれ。