明治二十六年十月五日朝三時四十分
刻限御話
いつまでも/\居た処がどうもならん。何にも楽しみが無い/\。どんな事変わるやら分からん。楽しみがありてこそ、長く居る甲斐があろ。折角の楽しみが楽しみになろまい。一から十までの処書き取らして、暫く猶予というようなもの。残念なわやい。付き添う者も付き添う者、楽しみさしてこそ側な者。一寸の処どうもならん。今日の日、道も同じ事、心も同じ事、一寸じっとして、何ぼ居ても同じ事、ほんの日々苦が増すようなもの。明日の日立ち帰り、たんのうさしてこそ付き添いと言う。案ぜるも無理は無い。暫く/\の処、辛抱してくれ/\。