76.牡丹の花盛り

井筒たねが父から聞いた話。井筒梅治郎は、教祖が、いつも台の上に、ジッとお坐りになっているので、御退屈ではあろうまいか、とお察し申し、どこかへ御案内しようと思って、「さぞ御退屈でございましょう。」と、申し上げると、教祖は、「ここへ、一寸顔をつけてごらん。」と、仰せになって、御自分の片袖を差し出された。それで、梅治郎がその袖に顔をつけると、見渡す限り一面の綺麗な牡丹の花盛りであった。ちょうど、それは牡丹の花の季節であったので、梅治郎は、教祖は、どこのことでも、自由自在にごらんになれるのだなあ、と思って、恐れ入った。

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